獣害の現状
 本県は、猿、猪、鹿等の野生獣の生息分布が重複し、農作物被害は、水稲・麦類からいも類・野菜・果樹・飼料作物までにおよび、およそ人間が生産するものほとんどが該当しており、作物選別による対策はできません。水稲を具体的にみると
  春・田植えしたばかりのやわらかい苗は鹿に食べられ
  夏・出穂時にヌタウチ(泥あそび)する猪に稲を倒され
  秋・実った米を猿が食べるという始末です。
 過疎化が進む中山間地域では、ただでさえ耕作放棄地が増えている状態に加え、農作物が獣害にさらされることは、営農意欲の減退を加速し、新たな過疎化と耕作放棄地を生んでいきます。このことは、国土保全からみても大変危惧すべきことです。
原因
@山のエサ場減少
写真提供:西村忠員氏
 いわゆる林相の変化です。戦後木材需要が大きくなり、実のなる広葉樹の天然木を伐採し、スギ・ヒノキ等の針葉樹の人工林を拡大したため、エサが山からなくなった。
A里のエサ場化
 作物残渣の放置や柿を全量収穫しなくなったことなど、無意識のうちに餌付けしてしまっている。
Bかくれ場の拡大
 耕作放棄地の背の高い雑草が、野生獣のかくれ場・棲み家になり人里に降りてきても、簡単に人間に見つからないことが学習されている。
 このようなことから考えてみると今日の「野生獣による被害」は、人間が作り出した「人工獣による被害」と言えるのかもしれません。
主な対策方法
@要因除去法
誘引する原因を取り除く。防除の基本。
収穫しない農作物、生ゴミ等を放置しない。
A接近警報システム
猿に発信機を取付け、群の行動情報を住民に提供し収穫日などの調整を行う。
B追い上げ法
 農村農地から離れた山間部に群を追い上げる。
C棲み分け柵
野生獣の行動域と人間の行動域を柵により物理的に隔てる。
D群全体捕獲
 悪質な群は完全駆除する。 猪・鹿・猿の重複被害対策柵
農業農村整備事業による対策
 このような中で滋賀県の農業農村整備事業では棲み分け柵設置を中山間地域総合整備事業等を中心に積極的に進めています。これは、かなり効果があがっています。 
獣害防止対策あれこれ
猪鹿垣
 高島市拝戸から鵜川(旧高島町)にいたる西南一帯の山麓に、土塁や石塁の猪鹿垣(シシ垣)が約8kmにわたって現存しています。シシ垣の構築や再構築については、明治6年に打下村戸長から滋賀県令に出願した「自普請猪鹿垣書上」のなかに明記されています。


高島市(旧高島町)
石塁や土塁で残る猪鹿垣は、
平均幅80Cm、平均高1m前後の規模です。

灯油ランタン 写真:東近江市(旧永源寺町)

案山子 写真:東近江市(旧永源寺町)
 この灯油ランタンは東近江市甲津畑町(旧永源寺町甲津畑)で使われているもので、ヤカンを再利用してつくられています。一晩中灯します。  最近ではあまり見られなくなりましたが、ところにより、今でも活躍しています。

電柵(写真:西浅井町)

ガス爆音機写真:東近江市(旧永源寺町)
 近年では、ソーラー発電を利用した電気柵により動物との棲み分けが進んでいます。  爆音により、動物を脅かして、農地から遠ざけるものですが、人家の近くでは爆音に対する苦情もあり、近年ではあまり使われなくなりました。
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